RACE REPORT

2018年11月12日

GLOBAL MX-5 CUP CHALLENGE 2018

堤、第1レースを制し速さを証明するも世界一ならず

堤、第1レースを制し速さを証明するも世界一ならず

11月10日(土)、11日(日)にMX-5ドライバーの世界一決定戦「GLOBAL MX-5 CUP CHALLENGE」レースが、フロリダ州セブリング・インターナショナル・レースウェイで行われ、土曜日夕方の第1レースで日本代表の堤優威が優勝。フロントロウからスタートした日曜日朝の第2レースでも5周目にトップに立つものの、直後に左後輪あたりにヒットされてスピンアウト。これによって、堤が2勝して世界チャンピオンとなる道は絶たれました。一方、日本シリーズ2位でこのレースに臨んだ吉田綜一郎は第1レースを11位、第2レースを8位で終えています。

GLOBAL MX-5 CUP JAPAN代表のふたりは、11月6日(火)に現地入りし、翌日行われた専有テストで初めてセブリング・レースウェイの3.7マイル(約6.02km)トラックを走行しました。古くからあるローカル飛行場の滑走路の一部とインフィールドの中低速コーナーをつなぐこのトラックは、つなぎ目がある硬いコンクリート路面とアスファルト路面が混在し、あちこちにバンプ(路面の凸凹)のあるラフな路面が特徴です。ラインを外すと大きなバンプに足元をすくわれ、アウト側に飛ばされそうになったり、17箇所あるターンのたびに強い縦Gに耐えなければならないなど、テクニック的にも肉体的にもタフなコースとして知られています。

今年のGLOBAL MX-5 CUP CHALLENGEレースは、アメリカで行われているシリーズ戦でチャンピオンとなったニッコー・リーガー(20歳)のほか、最年少優勝を記録したロバート・ノーカー(14歳、公式レースの最年少記録としてギネス認定)、2016年の世界一決定戦ウィナーであるネザニアル・スパークス、2015年のMX-5カップチャンピオンであるジョン・ディーンII、など高いスキルをもつ17名のドライバーに日本代表のふたりを加えた19名で競われました。セブリングを本拠地とするシック・サイドウェイ・レーシングはコースを知り尽くしているジョン・ディーンIIやiRacingシムレーサーからステップアップしたグレン・マギー、紅一点の女性ドライバーであるアシュトン・ハリソンを始め、全8名が所属しています。また、チャンピオンであるリーガーを擁するスリップストリーム・パフォーマンスチームは5台、常連のコープランドモータースポーツは4台をメンテナンスしており、今年USシリーズにフル参戦しているレーサー鹿島もこのチームから参戦。日本代表のふたりは、GLOBAL MX-5 CUPカーの開発を担当するロング・ロードレーシングのメンテナンスによる車両をドライブすることになりました。

iRacing(シミュレータ)で徹底的に走行を繰り返し、トラックの特徴を覚えてこの地に臨んだ堤は、水曜日の専有テストで2番手タイムを記録。「路面はつぎはぎだらけで、かなり荒れたコースです。それは知っていましたが、バンプやブレーキング時の振動や体に受けるショックの強さに驚いています。今日初めてこのコースを走りましたが、セブリングをホームコースとしている地元勢に割って入った2番手タイムは自信につながります」と語っていました。広島マツダがバックアップするHM RACERSは、会長、社長をはじめ、多数の応援団が吉田をサポートしています。コーチとして現地入りしているプロドライバーの佐々木孝太がコース攻略法を伝授し、こちらも初セブリングながら10番手タイムを記録しました。吉田は、「なかなか苦戦しましたが、アメリカ人の走りのパターンに慣れてきたので、決勝レースでは離されずについていきさえすれば最後に逆転のチャンスがあると思います。手応えはありました」と語っていました。

10日(土曜日)に行われた公式予選では、堤はディーンII、リーガー、ノーカー、48歳のベテラン、トッド・ラムに続く5番手タイムを記録し、吉田はリーガーに接触されてダメージを負い14番手からの決勝スタートとなりました。続く決勝レース1は、陽が傾く午後4時過ぎにスタート。堤はスタート直後からトップ集団の中で走り、次第にポジションを上げて3位でレース中盤を迎えます。残り20分でリーガーがミッショントラブルで脱落する一方、堤はペースを上げて2位に浮上。13周目にはファステストラップを刻みました。堤はその後もディーンIIの背後にピタリとつけ、後続に割り入る隙を与えません。そして、迎えた最終ラップ。力を溜めていた堤は、最終コーナーで果敢にディーンの内側に飛び込み、十分加速の余力を残してトップでストレートに向かい、一番でチェッカードフラッグを受けました。吉田は予選でヒットされた影響が残り、一時10位まで順位をあげるものの、最終的には11位で第1レースを終えました。

11日(日曜日)の朝、決勝レース2が行われました。日中は26度以上となる気温も朝はまだ22度ほどで、路面も冷えた状態でした。フロントロウの外側、2番グリッドからフォーメーションラップを走り出した堤は、最終コーナーのターン17で振られるグリーンフラッグから加速するポールポジションスタートのジョン・ディーンIIに食らいついていきます。また、後ろからも速い集団が堤の隙を狙っています。堤とディーンIIは、互いに牽制しながら序盤を走行しましたが、5周目の第1ターンでイン側をとった堤が、続く第3ターンでディーンを交わし、トップに立ちます。しかし、直後に姿勢を乱したディーンがグラベルに車体を落とし、コースに戻る反動で堤の右サイドをヒット。堤はスピンしてコースオフ。集団が走り去ったあと、堤はコースに戻りますが、勝負権は失ってしまいます。第1レースで堤にトップを奪われたディーンIIはこのアクシデントでドライブスルーペナルティを課せられ、やはりチャンピオンの可能性を失います。その後は、トッド・ラム、セリン・ローラン、ネザニアル・スパークスらがトップ集団を形成し、接近戦を繰り広げます。吉田は、リーガーの直後を走り、上位進出のチャンスをうかがいます。堤は復帰しましたが、マシンがダメージを負ったか、ペースが上がりません。45分後の最終コーナーで、インを取ったスパークスが一躍首位に躍り出て、トップチェッカー。同時に二度目のGLOBAL MX-5 CUP世界王者の座を射止めました。吉田は、8位入賞。堤は15位で完走を果たしています。

吉田は、「レース前半は中段グループの中でのバトルで、先頭集団から離されてしまいましたが、アメリカチャンピオンのニッコーが後方から追いついてきたので、二人でうまくスリップを使い合いながら前のグループに追いつくことができました。とても良い経験になりましたし、クリーンでいいレースができたと思います。近い将来、アメリカで活動ができるようにしたいという気持ちがより強くなりました」と語り、堤は、「悔しいの一言です。ジョンに押し出されてしまった形なので、スピンしたときは納得できないと思いましたが、これもレースですし、あのスペースにいた自分にも落ち度があったと考えています。第2レースでも第1レース同様に優勝して世界一のタイトルを取りたかったですね。ただ、週末を通して自分の速さは十分アピールできたと思いますし、来年また、チャレンジして世界一を獲得したいと思います」と話していました。

世界一となったネザニアル・スパークスは、「僕はセブリングが地元なので、今このサーキットには家族や親戚が沢山来ています。その中で世界一を決めることができたのでホッとしています。今回は速いライバルがたくさんいて、いつものシリーズ戦だと先頭集団にいるのに、今回は中団に埋もれた形でどう戦っていいかわからず、苦労しました。しかし、1台1台隙を見つけてパスしていくことができたのでラッキーでした。来年もこのクリーンでイコールコンディションのMX-5カップにチャレンジしていくつもりです」とコメントしました。

2018

2017

2016